鳶職人といえば、独特のダボダボとしたシルエットのズボンを思い浮かべる人も多いことでしょう。
そもそもなぜ鳶職人はニッカポッカと呼ばれるあのズボンをはいているのでしょう?
ここではニッカポッカの謎について解説します。
鳶職人がニッカポッカを履く理由
なぜ鳶職人はニッカポッカをはくのでしょう?
かっこいいから、というのも理由の一つですが、
ほかにもニッカポッカは鳶職にとって欠かせない機能を持っています。
▷足運びの邪魔にならない
高いところで足を高く上げたり膝を曲げたりして作業することが多い鳶職では、
足がズボンに引っ掛かってスムーズに動かないことがあるのは致命的です。
ニッカポッカは十分な余裕があるために足を動かしやすく、
これがこのズボンをはく最も大きな理由です。
▷危険を回避するためのセンサー
鉄骨の上などを歩くとき、足元に出っ張りなどの障害物があるとダボダボ部分が先に触れて
危険を察知できるというのもよくいわれる理由の一つです。
いわばあのダボダボが猫のヒゲのようなセンサー的役割を担っているわけです。
▷高所でのバランサー
高いところを歩くときにバランスを取るのにも、ダボダボ部分が役に立ちます。
ムササビの皮膜にも似ているようにも見えませんか。
慣れると逆に、ダボダボのないズボンで高所に上がるのは怖いと感じるようになるようです。
▷風の強さを測る目安
あのダボダボは風の影響を受けるのではとも思ってしまうかもしれませんが、それは正しい推測です。
実際に高所で作業をする鳶職人にとって風は大敵です。
そのため逆に、ダボダボが風でなびき始めると危険を察知して作業を休むようにしたり、
地上にいる作業員も遠くから高所の風の強さを確認できたりするといった利点があります。
鳶服の「超超ロング」って何?
ニッカポッカはほかにニッカ、トビ、七分、八分といった名前でも呼ばれています。
中でも七分は七分丈のことで、一時期流行りました。
それが少し長くなって八分丈になって八分とも呼ばれるようになったのです。
そしてその後も、ニッカポッカは丈の長いものが主流になっていきます。
ロング八分、超ロング、スーパーロング、超超ロング、超超超ロング、四超ロングと
長いものが作られるようになりました。
鳶服の世界にも流行がありますが、現在の主流は「超超ロング」のようです。
この長さがちょうど見栄えもよく、さらに実際の作業もしやすいというのが理由でしょう。
なお、ダボダボ部分については太いほどいいという考えもあれば、
いくぶんスリムなほうが今っぽいという考えもあります。
また、メーカーによっても名称やデザインは異なります。
どのメーカーのどんなデザインの鳶服を着用するか、あるいはオーダーメイドするかは、
鳶職人によって好みやこだわりがあります。