住宅の建築から大規模建築物の工事、土木工事に至るまで、
構造・工法に関わらず建設工事に欠かせないのが『仮設工事』です。
建設工事の現場においては何年何ヶ月という長い期間を通して、
入れ替わり立ち替わり作業員が訪れ、様々な工事が行われています。
その中で仮設工事は、建設物の工事に直接的に関わることはないものの、
着工から完成に至るまでの全工程を通して現場の安全衛生に関与し、
場合によっては作業の品質や進捗状況まで大きく左右します。
仮設工事とは何を目的とした工事であり、具体的にどのような作業が行われているのでしょうか。
そして、仮設計画を立てる上で留意すべき点やポイントはあるのでしょうか。
仮設工事ってどんな工事?
建設工事というと基礎工事からスタートするというイメージを持っている方が
多いのではないかと思いますが、
実は基礎工事が始まる何ヶ月も前から、工事現場は動き始めています。
その、最初に行われるのが仮設工事です。
全体工程表では多くの場合、
着工直後に『準備工事』として半月から1ヶ月程度の期間が設けてあります。
まずは敷地の調査等の前準備があって、それから仮設工事が始まります。
仮設工事とは、着工から竣工までの間に建設工事を円滑に進めるために
必要な工作物や機械・安全設備を一時的に配置したり、
現場の安全と衛生を保つために行われる工事や作業のことをいいます。
一般住宅の工事現場でも、仮設トイレが置かれていたりブルーシートで
建物が養生されているのを見たことがあると思います。
あれが仮設工事です。
これらの設備や施設は工事完了後には原則として撤去されますが、
仮設物の構築だけでなく、維持や撤去・片付けも仮設工事に含まれます。
仮設計画のポイント
仮設工事は、建設敷地の形状はもちろんのこと、
近隣の様子や周辺道路の状況まで考慮した上で計画しなければなりません。
まずは、工事現場で働く施工管理技術者や作業員といった
すべての労働者が安全で仕事をしやすい環境を作ることを念頭に置いて配置や動線を計画します。
資材や機材の搬入・搬出、揚重をいかに円滑に効率的に行うことが出来るかは
工事全体の進行にも関わってくる重要なポイントの一つです。
工事現場内での災害に備えるだけでなく、
飛散・落下等による近隣や通行人に対する災害や汚損・騒音等の対策についても
十分に検討しなくてはなりません。
もう一つ、仮設計画を行う上で重要なのがコスト管理です。
技術者や作業員が働きやすい環境に配慮をしたつもりでも、
行き過ぎてしまうとコストが嵩み、仮設費の予算をオーバーしてしまいます。
そのためにも、まずは敷地や周辺の事前調査をしっかりと行い、
仮設物の要・不要をきちんと判断し、どこに比重を置くかを考えて、
上手くコスト配分しながら計画を行いましょう。