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他の産業と同様に、建設業においても「良いものを、早く、安くつくる」ことは企業の経営を支える柱となります。
そのためには、安全管理、材料品質、施工管理、工程管理などの総合的な技術力が求められますが、その中でも建設業特有のモノづくりのカギとなるのが「仮設計画」です。
建設工事で行う工事には、「本設工事」と「仮設工事」があります。
本設工事は、工事の目的物そのものを作るものであるのに対し、仮設工事は本設構造物を作るために一時的に必要であるもので工事完成後には撤去してしまう構造物です。
一般的なものとしては、マンション建築工事などの足場があります。
さらに、仮設工事は2種類に分けられます。
1つは「指定仮設」と呼ばれるもので、設計図面に構造が記載されており、仮設構造物の工事金額も本設と同様に積算されています。
もう1つは「任意仮設」と呼ばれるものです。
建設工事において重要かつ不可欠なもの、単体の工事だけでなく事業全体で使われるようなものなどは「指定仮設」として設計段階で盛り込まれ、詳細まで図面に記載されます。
したがって、施工に当たっては本設工事とほとんど同様の扱いとなります。
一方で、任意仮設は図面には記載されていませんし、どこに、どのような仮設を作るのかは建設会社、現場監督次第です。
つまり任意仮設は、あくまで「任意」なので、作るか作らないかという点も含めて完全に施工技術者の範疇にあるわけです。
例えば、任意仮設の簡単なものとしては、ちょっとした作業用通路の階段も該当します。
通常の作業用通路が遠回りするルートになっているところに対して、現場の判断で使いやすい階段を設けるといったものです。
このような簡単な工夫から、構造計算まで行うような専門的なものまで、任意仮設は幅広いものがあります。
簡単な任意仮設であっても、その工夫次第で現場の作業条件は大きく変わります。
前述の作業用通路の階段を例にとると、階段によって作業動線が短くなれば、それだけ作業効率が上がり、作業員の疲労は少なくなります。
それに伴って、作業の集中力が上がります。
このように任意仮設は作業環境・作業効率を向上させることによって、安全面だけでなく、品質水準もあげることに繋がります。
作業効率が上がれば進捗も良くなるので利益率も上がります。
任意仮設がキーポイントとなる理由がここにあります。
建設会社や現場監督はそれぞれの任意仮設のコツをもっており、そのコツは自身の技術の産物です。
なかなか教えて貰えるようなものではありません。
「見て盗む」姿勢で仮設のコツを磨くことがポイントです。
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